インタビュー:NPO法人エスペラントよこはま

みなさんは国際言語であるエスペラント語をご存知ですか? 今回は、2016横浜国際フォーラム(2016年2月6日~7日@横浜)にて、横浜でエスペラント語の普及に取り組まれている、NPO法人エスペラントよこはまの南波さん、宮崎さん、布施さんにインタビューを行いました。

自己紹介をお願い致します。

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NPO法人エスペラントよこはまの南波と申します。このNPO法人の前身である横浜エスペラント会の頃から16年ほど、エスペラント語での交流会等のエスペラント語促進の活動をしております。今回のNPO法人化に伴い、より本格的に活動を進めていきたいと考えています。

同じくNPO法人エスペラントよこはまの理事を務めております宮崎英子です。私は15歳の時にエスペラント語のことを知り、前身である横浜エスペラント会に入会をしました。

同じく布施と申します。この会に携わってから44年ほど経ちますが、途中は仕事が忙しくあまり参加が出来ず最近になって本格的に参加しております。

具体的な活動内容に関して教えて下さい。

まずエスペラント語の勉強会を行なっているのですが、一方で普及活動をしており本日のようなセミナーでエスペラント語についてご紹介や、チラシやホームページを制作して広報活動をしております。

現在「英語」が公用語となっておりますが、英語との違いは何でしょうか?

エスペラントという言葉はどこの国の言葉でもなく、130年ほど前にザメンホフという人物が今後の国際言語を目的に造られた言葉です。130年経った今日でも学習者は増えており、私どものような普及活動をしている団体がおります。なぜエスペラント語を普及すべきかと考えている理由は、例えば英語だと英語を母語とする国の人たちがおり、その人たちにとても有利な状況が生まれていると考えおります。そういったところの出身者と私どものような英語を第二言語として学んだ日本人等がコミュニケーションをとる際に、気後れをするケースも考えられますが、その点エスペラント語だとどの国の言葉でもない分、誰もが第二言語として後から学ぶ言語の為、お互いのコミュニケーションが平等になるのではと考えています。あらゆる異なった言語を話す人たちの間の架け橋となる言葉として私たち自身もエスペラント語を学びながら、一人でも多くの人たちへ広めたいと思い、活動をしています。

ありがとうございます。今迄にあった言葉ではなく皆が第二言語として学ぶ新しい言語として、フェアなコミュニケーションツールとなる訳ですね。

あとは各民族の各々の言語だと、とりわけ英語は比較的学ぶことは簡単だと言われていますがやっぱり一部の人たちには難しかったり、例外であるケースも考えられます。そのためそういったものを極力省いて誰でも簡単に覚えられる言葉であるエスペラント語にしたほうが、普及が容易だという面もあります。その為に創始者であるザメンホフも工夫を重ねて創り、その言語・思想に賛同した人たちが普及活動を頑張って行なっています。

ザメンホフはポーランド出身の方だったかと思いますが、ポーランドの言葉でもなく全く新しい言語を造られたのでしょうか?

そうですね。正確に言えばヨーロッパ全体を見渡して、ヨーロッパのいろんな言語の共通の部分をIMG_1544抜き取って出来た言語です。全く新しい言語を造ってしまうと、ヨーロッパの人たちにとって覚えにくい言語となってしまうので従来のヨーロッパで使用されていた言語の共通の部分を抜き取って造られました。
例えば「水」はAAAだとか、「空」はABBだとか、このように機械的に造ってしまうと誰も覚えることが難しくなってしまうので、その点考慮されているためヨーロッパの共通言語のような側面もあります。

勉強する為の教材は簡単に手に入るのですか?どのように手に入るのですか?

普通の町中の本屋ではなかなか手に入れることは難しいです。東京の早稲田に日本エスペラント協会の事務所があり、そこであらゆる関連した本が販売されています。そこには教科書や参考書等も揃っています。私どもエスペラントよこはまでも昔、「ハナコ・レルナス・エスペラントン」というエスペラントの教科書を作りました。それを使用しながら講習会を開いています。最近ではインターネットで学習することもできます。また一部ですが無料のアプリを使用して学習することも出来るようです。例えば「ドゥオリンゴ(DuoLingo.com)」というアプリでは英語を介してあらゆる言語を学習することが出来てその中にエスペラント語も採用されました。採用されてから半年ほどしか経っていませんが、現在既に20万人ほどのユーザーがエスペラント語を学んでいます。アメリカ人の女の子で学習サイトのみらしいですが、三日間でクリアした人もいるそうです。(笑い)

ヨーロッパの言語が母語の人たちにはとてもマスターしやすい言語となっており、日本人にとっては一から覚える必要のある言語であることは事実です。日本人にとって一番課題となるのは、単語だと思います。ヨーロッパの人たちにとってはエスペラントという言葉はヨーロッパのいろんな単語を整理したもので、無理に一から造った言語ではなく親しみやすい言語となります。一方で私たち日本人にとっては元々英語やヨーロッパの言語を学んでいると割と理解しやすいかと思いますが、学んでいない人は単語を覚える努力が必要になると思います。ただ文法は日本人にもなじみ深いものもあるため、勉強しやすいメリットもあるかと思います。

皆さんはどのくらいの期間で、マスターされたのですか?

私の場合は、日本にエスペラント検定試験というのが日本エスペラント協会にあるのですが、その3級に受かるのに10ヶ月ほど費やしました。難易度は英検の3級と同じくらいだと思います。ただその後さぼっていたので、2級以上が進んでいませんが・・。(笑い)勉強の進め方は入門書を一冊、2、3ヶ月ほどで読み込み頭に叩き込んでから、当時の横浜のエスペラント会の門を叩いて、受講生となったという経緯があります。したがって初心者レベルを覚えるのには2、3ヶ月あれば十分ではないかと思います。

ボランティアに興味のある人、キャリアとしてNPO/NGOに興味のある人たちにメッセージをお願いいたします。

エスペラント語を学んで国際交流に活かしてほしいという気持ちもあります。また学びやすいエスペラントの文法を先に学ぶことで他のヨーロッパの言語も学ぶのにも役に立つと思います。またいろんな大会やイベントの企画運営をボランティアの方にやっていただくのですが普段の仕事以外の経験が出来るチャンスとなりますし、一つのプロジェクトを立ち上げて推進するという貴重な経験が積めると思います。そういった観点でぜひとも若い人たちには勧めたいと思います。

本日のよこはま国際フォーラムでは、国際協力や貧困撲滅等に関係した団体さんが多く見受けますが、言語普及は珍しい活動ですね。

言語を普及することの目標が国際交流をもっと活発にしようという目標に繋がっています。したがってエスペラントはその一例に過ぎません。重要なのは国や民族や言語の壁を越えることにあると思います。この言語を広めることで国境や民族、言語等の壁を越えてお互いにうまく交流できる文化作りの貢献が出来れば良いなと思っています。

どうもありがとうございました。

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