インタビュー:特定非営利活動法人 中国留学生援護会

30年に渡って留学生支援を目的とした語学教室を運営されてきた団体があることをご存知ですか? 今回は、よこはま国際フォーラム2016(2016年2月6日~7日@横浜)にて、中国留学生援護会の前山様にお話を伺いました。

団体名 NPO法人 中国留学生援護会
活動 中国語講座の運用を通じた留学生支援
活動創始 1986年
ホームページ http://www.sh.rim.or.jp/~engokai/index.html

本日はありがとうございます。まず、自己紹介をお願いします。

IMG_1612中国留学生援護会会長の前山でございます。設立当時から責任者の1人として、今日に至っておりますが、おかげさまで今年30年になりました。また、クラスについても今年59期を迎えることができました。(1期が6か月のため)

それは、すごいですね。おめでとうございます。

我々の団体は1986年に設立・開講しました。当時、日本を取り巻く状況は、円安ドル高ということもあり、特に留学生の方が経済面で大変苦労されていました。そういった状況を見て、継続的にお手伝いできることはないだろうか、ということや10年20年先の日本と中国のことを考えまして、中国語の教室を開講することにいたしました。

中国を選ばれた理由はあるのでしょうか?

中国留学生講師による中国語教室授業風景

中国留学生講師による中国語教室授業風景

当時、後援をいただいた団体では、メンバーの方のご親類の方が上海大学の先生をされているということもあって中国人留学生の方が様々な問題に対して相談に来られていた、という経緯があります。その方のご提案もあり、中国語教室を開講するということになりました。

ゼロからの開講のためまず教室が問題になりましたが、後援団体に無償提供いただき、ボランティアでの運営をすることができました。一方、授業内容としても運営メンバーが皆素人ということで心配でしたが、先ほど申し上げた大学で教鞭をとられているメンバーのご親類の方に、教材や授業内容について熱心に作り上げていただきました。

そしてようやく開講に至りました。受講生4クラス41名、また留学生講師は5、6名でしたが、当時としては横浜には中国語だけを教える教室は他になかったのではと思います。

その後、2~3か月は支障なく運営できていたのですが、両国の文化や考え方といったところから、受講料などの方針に相違が出るなどの問題も出てきました。しかし、メンバーでの話し合いを持ち続けることで、なんとか相互理解を得ることができ、開講を続けて今日に至っています。

(ここで、渡部さんに加わっていただき、自己紹介を伺いました)

理事を務めております渡辺と申します。

皆さんの団体としては、中国人留学生の資金的な援助のため、中国語の講座を開設して講師として授業を提供し、その講師料によって援助を行うという形ですね。今と比べて規模が小さかったり、中国と日本の価値観の違いなどもあったと思います。他にもご苦労された点や、逆に活動されていて良かったと感じる点はございますか?

中国茶と中国語を留学生と愉しむ会

「中国茶と中国語を留学生と愉しむ会」

運営の中で、考え方の違いで上手くいかないこともありますが、当会で講師を経験して、卒業され、中国に帰国されたり日本で就職された留学生がすでに多くいらっしゃいます。日本には200名ほどですが、立派になられてまだ連絡をいただいたり、ずっと交流が続いているという点は、すばらしいと感じます。

また、講師の人数を申し上げますと、これまでに240名の留学生の方が私たちの教室の講師をされ巣立っていかれました。一方、受講生は類推になりますが、これまで累計23,000名の方がいらっしゃいます。大勢の業界で活躍する人たちと親睦を深めることの重要性を肌で感じながら教室の運営に励んでおります。

中国人留学生の方は、もちろん言葉は苦労されると思うが、日本に来た時、他にどういったことに苦労されているのでしょうか?

最初は生活習慣や、時間厳守など日本での一般的な常識に対して少し考え方が違っていたりしますが、そういった相違を文化や社会常識として身に着けるのに時間が掛かったり、苦労される方もおられると思います。また、日本語を使う機会が、意外に少ないという声も聞きます。周りの友達グループが中国人だったり、学校で日本語で発言する機会もそれほどありません。そのため、日常の日本語を身に着ける機会を作るというのは人によっては大変なのかと思います。

日本に来られる留学生の数は年々増えているのでしょうか?

いえ、今は4~5年前に比べれば減っていますね。それでも、年に2~3回大使館へ行きますが、

中国留学生講師による「中国語体験講座」

中国留学生講師による「中国語体験講座」

今は30年前に比べると相当の留学生の方が日本に来られています。4~5年前だと中国から日本へ多くの留学生が来日し、日本からも交換で留学に行く学生が多くおられました。

最近だと英会話教室などの広告を見ますが、そういった営利企業に対する差別化としては?

営利団体ではないので、特に差別化は考えていないですね。中国語を学びたいと思って下さる方がどうすれば多くなるか、また、来ていただいた受講生が授業に満足を感じていただけるか、という点を主に考えています。毎期350名の受講生に登録していただいているので、丁寧に運営することを心がけています。

本日のフォーラムでも講座をされていましたね?

はい、中国語の体験講座を行いましたが、4名の中国人留学生講師が来場者に初級中国語を教え、非常に楽しんでいただけたようでよかったです。

また、もう一つお伝えしたいのは、先ほど日本にいらっしゃる中国の方々が日本語の習得に苦労されているとありましたが、当会は中国語教室以外で中国留学生の方が日本語を学びたいという意欲をお持ちであればマンツーマンレッスンをボランティアで行っております。また定期的に日本語のビジネス講座(無料)を開催したり日本で就職したい留学生を支援するという活動も併せて行っております。

参考に申し上げると、我々の団体で講師をされながら大学の博士号を取られた方が10名程おり、そういった真面目な方に講師をして頂けたのは、恵まれているのかなと感じました。

本日はありがとうございました。

カテゴリー: topview, インタビュー, 未分類 タグ: , , , , パーマリンク

コメントを残す